「不更新」契約条項に無効判決も

資料

無期転換は「経営上のリスク」と、契約書に不更新条項を新たに定めて解雇(契約更新しない)など、無期転換ルールの主旨に反する資本側。日通で働いていた派遣、契約社員の訴訟例が紹介されています。また、雇止め無効とする判決も相次いでいます。

 

泣き寝入りせずに、復職にむけて5年ルールの適用を求めていきましょう。

 

 

 

資料 2020/11/30(月)朝日新聞 生活欄記事

 

 

5年ルール直前 後絶たぬ雇い止め

 

有期→無期雇用転換めぐり各地で訴訟

 

 1年契約などの有期雇用で働く人は、契約更新を重ねて通算5年を超えると無期雇用になれます。「5年ルール」と呼ばれ、不安定な働き方を減らすために7年前に導入されました。ところが、5年を超える直前に雇い止めにされてしまう人もおり、各地で裁判が起きています。「ルール逃れだ」という働き手の訴えに対し、司法の判断はーー。

 

会社側 契約書に「不更新」明記 働く側 自由意志なかった

 

 

 今月17日、横浜地裁川崎支部の法廷に、日本通運の秋田進副社長の姿があった。5年ルールが適用される直前で雇い止めされた男性(40)が日通を訴えた裁判に、証人として呼ばれたのだ。
 秋田氏は、減らしにくい無期雇用の増加が「経営上のリスク」だと表現。65歳までの一層用が義務化され、社員を過剰に抱えやすくなっているとして、契約社員の一定数の雇い止めを正当化した。男性側の弁護士は「法律が目指したのは逆の方向だ」と批判。厚生労働省の労働政策審議会で分科会の委員を務めた経験もある秋田氏は「そうは思わない」と返答した。
 訴状によると、男性は首都圏の支店で2012年から事務職の派遣社員として働きはじめた。13年7月から日通に直接雇われ、1年間の契約社員になった。それから4回の契約更新を重ねたが、5回目は更新されず、18年6月末に契約が満了して退社した。
 争点のーつは、男性の契約書にあった「通算して5年を超えて更新することはない」との記述だ。不更新条項と呼ばれるもので、男性は最初の雇用時と、その後の更新時に署名していた。当時、この条項を定めたのが秋田氏だった。
 男性側は、上司に仕事ぶりが認められ、5年を超えて働く可能性も示されていたとする。契約してもらわないと失業してしまう弱い立場で、契約書に疑間点があっても署名せざるを得なかったとも主張。不更新条項は、自由な意思に基づく同意がなかったなどとして、無効だと訴えている。
 日通側は、「厚労省のパンフレットを参考に、適正な制度をつくるべく労使で協議した」(秋田氏)と主張。男性に対して、取引先で雇われる可能性などは示したが、5回目の更新まで約東していないとしている。
 5年ルールは改正労働契約法に盛りこまれ、13年に施行された。契約期間が通算5年を超えた働き手が、無期雇用への転換を希望したら、雇う側は拒めない。ただ、人件費の固定化を嫌企業が5年超になる直前で雇い止めすることが、ももと懸念されていた。17年に安倍晋三首相(当時)が国会で「ルールを避ける目的で雇い止めをすることは、法の趣旨に照らして望ましいものではない」と答弁するなど、政府は企業側にクギをさしてきた。それでも、直前で雇い止めされる例が後を絶たない。
 日通をめぐっては\元契約社員の女性(42)も裁判を起こした。同じように不更新条項つきの契約書に署名し、5年ルールが適用される前に雇い止めされ、無効とするよう求めた。今年10月に東京地裁で判決があり、取引の縮小で女性が主に担当していた仕事がなくなったことなどから、女性の訴えは退けられた。女性側は不服として控訴した。(内藤尚志)

 

「労働者次も期待」相次ぐ無効判決

 

 契約が何度も更新されており、労働者に「次も更新される」という「期待権」が生じていると認められる場合は簡単に雇い止めできず、正社員の解雇と同じように合理的な理由などが必要だ。「雇い止め法理」と呼ばれ、5年ルールと一緒に労働契約法に明記された。
 最近は、不更新条項の効果を否定し、「雇い止め法理」を踏まえて雇い止めを無効とする判決も相次ぐ。
 3月の福岡地裁判決では、広告大手の博報堂と1年契約を29回更新していた契約社員の雇い止めが争われた。会社は、労契法の改正後の契約は全て上限5年に運用を変更。契約書に不更新条項を加え、原告に5年ルールが適用される直前の18年に雇い止めにした。しかし、判決は「(不更新)条項のある契約書に署名押印したからといって、契約を終了させる明確な意思を表明したとみることは相当ではない」とし、原告の期待権を認めて雇い止めを無効にした。

 2月の山口地裁判決では、無期転換直前の就業規則変更が問題になった。訴えたのは、山口県立病院機構に勤務していた看護師。病院は、17年4月付で、13年までさかのぼって原則5年の上限を設けた。試験に受かれば5年を超えて更新することにしたが、原告は試験を通らず、18年3月に5年で雇い止めになった。判決は、就業規則が変わる前に原告には契約更新の期待権があったとした。試験は公正ではなかったとして雇い止めを無効とした。
 いずれも原告は復職した。裁判ではなく個人加盟のユニオンで団体交渉して和解金などで解決した例も。疑問があれば泣き寝入りせず、弁護士などの専門家に相談する道が残されている。(編集委員・沢路毅彦)

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